説明とテンポ感の両立!! ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン#8 シナリオ分析してみた!!

#8

シリーズ構成・脚本;吉田玲子

#8話のシナリオ分析です。副題がないのはミスではないですよ!

今回のポイントは「説明」です!

説明が長すぎてテンポ感がなくなったり、逆になさ過ぎてよくわからなくなったりすることってありますよね。

じゃあ、いかにテンポ感を維持したまま説明するか

この答えは「最低限必要な説明を説明と感じさせないようにする」です!

この#8では説明についてご紹介していきます! ネタバレ注意!

起承転結

  • 起:ギルベルトを探しに
  • 承:ギルベルトとヴァイオレット
  • 転:お墓とブローチ
  • 結:インテンス奪還作戦
簡単なあらすじ

孤児で言葉もままならない少女だったヴァイオレット。そんな彼女をギルベルトの元に引き取り育てようとするも、上官の命令で戦場に連れていくことに。並外れた彼女の力によって戦果を得ていくギルベルトたち。そんな戦いの最中、お祭りの露店でヴァイオレットはエメラルドのブローチを見て、美しいを知る。そんな彼女とインテンス最終決戦を迎えるギルベルト。インテンスの攻略を成功させ、無事作戦が終わらせたかと思った。そんな矢先、ギルベルトの体を銃弾が貫いた。

ヴァイオレットがギルベルトの死を受け入れられずに探すシーンと、ギルベルトとの過去のシーンが交互に切り替わっていきます。

また、演出の仕方として、「瞳」に重点が置かれているところも見どころです!

起:ギルベルトを探しに

  • アバン:ギルベルトとヴァイオレットのファーストコンタクト
  • 起:ディートフリートの元へ
  • 承;警備兵を倒す
  • 転:ディートフリート登場
  • 結:道具

かつて、ギルベルトとの出会いを思い出すヴァイオレット。

そんな彼女はギルベルトの死を受け入れられずクラウディアの元から飛び出していた。

向かった先はギルベルトの兄であるディートフリート邸。しかし、門の前で兵に止められてしまい、その兵を倒す。

その騒ぎを聞きつけたディートフリートが屋敷から出てくる。ヴァイオレットはギルベルトの死が本当かを問い詰めると、それを知らなかったことに驚くディートフリート。

ギルベルトの死を受け入れられず悲しむ彼女に「道具の分際で」とディートフリートは言葉を放つ。

一方、クラウディアはカトレアに怒られ、ヴァイオレットを探しに行く。

まず、アバンではヴァイオレットとギルベルトとの出会いが描かれていますが、これは#8での方向性である「ヴァイオレットとギルベルトとの物語」を示しています。

そうしてOPを挟み、ヴァイオレットがディートフリートの元で兵士に止められ倒してしまうところは、ヴァイオレットというキャラならではですね。彼女がそれほど取り乱していることを表現しています。

もしもここで、ほかの兵がたくさん出てきて、それも全部倒したりすると、ヴァイオレットの異常性が分かりやすくなります。コミカルな感じになりますが。

ここでのディートフリートが「お前は下がっていろ。死にたくなければな」という言葉はヴァイオレットが人を殺す道具として脅威的なことがわかるセリフでもあり、少しコミカルなセリフでもあります。いいセリフです。

この後のディーとフリートの「知らなかったのか」というセリフには彼女が知っていたというディートフリートの思考が見えますね。

そして、「道具であるお前が」というセリフもディートフリートの憎悪の感情が表現されているのも、ヴァイオレットとの関係性を示すセリフになっています。

その後のクラウディアのシーンは伏線的機能がありますね。

承:ギルベルトとヴァイオレット

  • 起:ギルベルト邸へ
  • 承:心を開き始めるヴァイオレット
  • 転:出兵
  • 結:敵を殺すヴァイオレット

ギルベルトに引き取られてすぐ、ヴァイオレットはギルベルト邸で使用人に預けられるも、使用人が信じられずに暴れてしまう。

夜、眠っているときにギルベルトに毛布を掛けられるも、思わず体を引いてしまう。が、そんな彼に心を少しずつ開き始め、ギルベルトのそばを離れないようになっていく。

一方、ギルベルトは上官からヴァイオレットを戦場に連れ出すように命令されてしまう。

彼は命令を受け、ヴァイオレットを戦場に連れ出すも安全なところでじっとしているように言いつける。

しかし、隠密作戦の際、ヴァイオレットが飛び出してきて、敵を殺してしまう。

そのまま乱戦状態になり、ヴァイオレットは敵を次々と殺していく。 

ここからはヴァイオレットがまだ少女だった時代の話になっています。

ヴァイオレット視点が映り、使用人に噛みつくところは彼女が心を開いていないことを表現しています。

また、その後の毛布を掛けようとするシーンでもまだ警戒心があることが表れています。が、その後のヴァイオレットがギルベルトを探すところは少しヴァイオレットの心情が急に変化したように見えたので、ここでもう一つイベントがあるとよかったですね。

ヴァイオレットを戦場に連れ出すもテントに置いていくシーンはフリみたいになっていましたね。

その後のヴァイオレットの奇襲シーンは見せ場ですね。いい動きです。

転:お墓とブローチ

  • 起:ギルベルト邸へ再訪
  • 承:お墓
  • 転:ブローチ
  • 結:美しい
ディートフリートの元から去ったヴァイオレットはギルベルト邸に到着する。

使用人にギルベルトの安否を尋ねるも、お墓に案内される。

その墓石にはギルベルトの名が刻まれていた。墓石の前で崩れ落ちるヴァイオレット。

そんなヴァイオレットは言葉を覚えたときのこと、メヒティッヒの感謝祭での出来事を思い出す。

露店を回る二人。ヴァイオレットは露店の中でギルベルトの瞳と同じ色のエメラルドのブローチを見つけ、「美しい」を知る。

ヴァイオレットはそれを買ってもらい、ギルベルトに「少佐の瞳は初めて会った時から美しいです」という。

ギルベルトは悲しそうな顔をしながらも、ヴァイオレットにブローチをつける。

ヴァイオレットが川を越え野を超えて、ボロボロになりながら、ギルベルト邸に到着する様は、ヴァイオレットの心情がボロボロであることの心理表現(シャレード)になっていますね。

また、使用人が少し太っているところは、時が経っている描写ですね。雲の早回しやヴァイオレットが移動する際の太陽の光も時間経過を表しています。

その後のギルベルトのお墓を見つけるシーンはとても印象的ですね。

ギルベルトとの言葉を覚えるシーンはこれまでのことを思い出すところは、孤児だったヴァイオレットの成長が補完されています。少しかわいらしいシーンですね。

加えて、ヴァイオレットが言葉が流暢になっていくとともに、背景の植物で季節の変化を表現しているところも注目です。

そうして、#1の冒頭で挿入されたブローチをもらう話に突入していきます。

ここでは「ヴァイオレットに功績だ」というために、メヒティヒの説明がなされていますね。

また、そこをうまく繋げて、感謝祭が「感謝している人に贈り物をする」という会話をし、そのシーンでのブローチを贈る意味合いを作っています。

ギルベルトが感謝したいといいつつも「よく戦って……」と言いかけてしまうところは、ギルベルト自身も武器として彼女を見ている側面があるということが表現されています。

ヴァイオレットが「何を欲しがればいいか」というセリフには彼女にはふつうの感覚がないことがうまく引っかかる感じがしていいですね。

美しいを知るからの「少佐の瞳は美しい」という流れもきれいです。ブローチ=少佐の瞳、ブローチ=美しい、少佐の瞳=美しいという三段論法で語っているからでしょう。

結:インテンス奪還作戦

  • 起:ギルベルトとクラウディア
  • 承:処分
  • 転:作戦開始
  • 結:銃弾

ガルダリク軍が撤退しつつあることで士気が高まる中、ギルベルトとヴァイオレットはクラウディアと出会う。

クラウディアがギルベルトにふざけて体を触ると、ヴァイオレットが身構える。

そんな彼女を見たクラウディアは訓練所でのヴァイオレットを思い出す。

そして、彼女の戦果と少佐の武器と噂されていることを話す。

そんな彼女が最後の戦いになるであろうインテンス奪還作戦にも参加すると話すギルベルト。

クラウディアはギルベルトの身に気を使いつつも、戦争が終わったら会社を興すこと。ヴァイオレットを雇うことを口約束する。

そうしてインテンス奪還作戦。熾烈な攻防戦の中、ヴァイオレットとギルベルトはなんとか本陣である大聖堂まで制圧することに成功する。

ホッとする二人であるが、そんなギルベルトを弾丸が貫いた。

まず、最初の方で兵士たちがガルダリク軍が撤退をしている噂話をしています。自然に回想内での場面が説明されていますね。

クラウディアにギルベルトが敬礼するシーンではクラウディアとギルベルトの階級は違えど、仲がいいという関係性を示す挨拶をしています。

その後のクラウディアとの会話では、ヴァイオレットが身構える→ヴァイオレットに気づく→少佐の武器→インテンス奪還作戦という風にヴァイオレットを軸に話が展開しています。自然で筋が通っていて綺麗ですね。

また、クラウディアが戦争が終わったら会社を興すという話は現在につながる逆伏線ですね。また、少しフラグっぽくなっていますね。

その後の作戦では、ギルベルトが突入→心配するクラウディア→ギルベルトが大聖堂に侵入といったように、場面の切り替えで時間経過が行われているところも注目です。

また、実物はわかりませんが、信号弾を使うところは、作戦の成功を印象的にする見せ場のシーンであり、それを増幅する効果を上げていますね。

そして、最後のギルベルトの瞳が撃ち抜かれるシーンはフックになっていますね。

また、ブローチの話で美しいと評した瞳が撃ち抜かれるというギルベルトの死を想起させるような演出にもなっています。

説明!!

今回のポイントは説明です!

基本的に説明は説明とわかってはいけないというのがセオリーです。

アニメやドラマといった映像表現では、映像で表現できてしまうため説明っぽい説明がされることが少ないです。

ただし、それは映像という土俵での話。脚本や小説という文字だけの情報の場合、いかにわかりやすく場面を想起させるかを意識しなければいけません。

この#8ではヴァイオレットがギルベルトを探す話と、ギルベルトとの過去の二つが交差しながら展開していますね。また、過去の話もツギハギで展開されています。

故に、場面を毎回設定する必要があります。

が、場面が変わるごとに場面を設定していると、テンポ感が失われてしまいますよね。

テンポを失わないためには、説明を少なくする必要があります。

ゆえに、このシーンを進めるために何が最低限必要な情報かを把握しておく必要があります。

例えば、一番最初のギルベルトとヴァイオレットのファーストコンタクトのシーンでは、画面上でヴァイオレット、ギルベルト、ディートフリートの3人が出てくるだけでいいので、特に説明はされません。場所は重要ではないため、映像だけで表現されています。

が、メヒティヒの感謝祭の場面では、メヒティヒという場所を解放したヴァイオレットの功績、その場所での感謝祭の意味合いが必要であるため、ギルベルトの口からそのように説明されていますね。

このように、そのシーンに最低限必要な情報を把握しておくことが大切です。

映像表現では映像で映ってしまえば、説明はいりません。逆に小説は地の文で雰囲気を出しつつも簡単に説明ができてしまいます。が、地の文は読み飛ばされることが多々あるため、繰り返して説明することで場面を定着させる必要があります。

しかし、定着させるからと言って同じ表現を多用するのは、単調になりがちなのであまり好ましくはありません。

例えば、クラウディアが登場する回想では、兵士たちの噂話で説明がなされています。これでインテンス奪還作戦の意味を伏線的に説明しています。

ちなみに#3でも噂話が使われていましたね。

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」では新しい場所に行ったりするとき、字幕が出て場所の名前が表示されるという方法もとっていたりします。

このように、説明のバリエーションを増やしていけるといいですね。今の例は映像表現的ではありますが、文章での説明でもいろいろなやりようがあると思います。

また、説明は説明でもシーンの最初だけではなく、途中でも説明がなされる場合もあります。

#8のヴァイオレットが言葉を覚えるシーンでは前述したように、葉の色で時が経っているさまを表現しています。

ヴァイオレットがギルベルトに行く際に、時間が経つ描写として雲が早回しになっていたりします。

他にも、説明は説明でも最低限以外のわかりやすくするための説明もあります。

例えば、メヒティの感謝祭で「何を欲しがればいいか」をヴァイオレットが聞いて、ギルベルトが「ドレスやアクセサリー」といった時に、道を歩く着飾った女性が画面に映ります。

それによって、その時代での普通の女の子らしさというのが説明されています。

メヒティヒの感謝祭で感謝している人に贈り物をするというところでも同じような説明がなされています。

場面的には必要ない描写ですが、着飾った女性を登場させることで、普通の女の子らしさが分かりやすくなっていますね。

このように、説明でもいろいろあります。

小説では映像表現的な説明はできませんが、地の文で応用することは可能です。いろいろ試してみてはいかがでしょうか。

終わりに

今回のポイントは「説明」でした!

いかに説明を説明として見せないかが重要で、そのために、様々なバリエーションが使えると場面を定着させやすくなります

また、必要最低限の説明以外にも、それをわかりやすく定着させるためにする説明もあります。

映像表現と文章表現は表現の仕方は違えど、参考になるところはたくさんあるため、好きな作品から学ぶといいかもでしれませんね。

今回の話でツギハギだったヴァイオレットとギルベルトとの過去が明らかになりました。

同時に、ギルベルトの死に直面したヴァイオレット。ここからどのようにして物語を展開させ、説得力をもった迫真の演出ができるかが注目ですね。

モチーフを自在に作れるマトショーリカ構造とは!? ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン#7 シナリオ分析してみた!!

2018年3月8日

成長を魅せる入れ子構造 ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン#10 シナリオ分析してみた!!

2018年4月23日

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です