モチーフを自在に作れるマトショーリカ構造とは!? ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン#7 シナリオ分析してみた!!

 #7「    」

シリーズ構成・脚本:吉田玲子

今回のポイントは「マトショーリカ構造」です!

物語の中に物語を作ることで自由にモチーフやテーマを語ることができます。

間接的に語れるのでとても自然に。

そんな使い勝手の良いテクニックについて今回なご紹介します! ネタバレ注意!

起承転結

  • 起:オスカー
  • 承:オリビア
  • 転;いつかきっと
  • 結:ヴァイオレットとギルベルト
簡単なあらすじ
作家のオスカーの元へ向かうヴァイオレット。オスカーは娘のオリビアを亡くし、酒に溺れていた。そんなオスカーと執筆するも、ヴァイオレットはオスカーの心の傷に触れてしまう。そんなオスカーの心に共感し、オスカーと仲直り。再び執筆をし、ヴァイオレットは娘のいつかきっとを叶える。その後、ヴァイオレットはギルベルトが亡くなったことを知ってしまう。

前半はオスカーの話。後半はオスカーの「誰かと別れることは寂しい」というのを受けたヴァイオレットの物語。

今までは二人分の物語が同時に進行していく形になっていましたが、今回はオスカーの物語に軸は置きつつも、後半の最後でフックのようにヴァイオレットの物語が始まっています。

起;オスカー

  • アバン:赤い悪魔
  • 起:オスカー邸へ
  • 承:片付け
  • 転:料理
  • 結:禁酒
赤い悪魔という劇を見るエリカ。

その赤い悪魔を書いたオスカーの元へヴァイオレットは向かう。

が、オスカーは酒に飲んだくれていた。そんなオスカーの部屋を片付け、料理に挑戦します。

そして、オスカーが酒を探すも、ヴァイオレットが体に悪いということで隠し、やっと見つけた酒も取り上げます。

ヴァイオレットがいろいろなところに赴くための理由として公開恋文の話わ効いていますね。#6でもそうでしたね。

エリカが「オスカーウェブスタン」と紹介して、自己紹介せずに登場人物の名前が説明されているところも細かいですね。

その後の赤い悪魔のセリフにある「ああ、私はこの罪を背負って生きるしかない。この先、一生」という言葉をヴァイオレットが言うことで重みが増し、次の話への方向性、伏線的機能を果たしています。

クラウディアとカトレアがヴァイオレットが考え事をしていること、ギルベルトのことが話されることによって、後半のヴァイオレットの話の前振りになっています。

ヴァイオレットとオスカーのファーストコンタクトでのオスカーの声はこの後のオリビアのことを匂わせている点も注目ですね。

料理のシーンはヴァイオレットが料理をしたことがなく、たまごを割るのに失敗するということが描かれています。本筋とは関係ないところですが、デティールを丁寧に表現されていると、リアリティーが生まれてきます。なので、細かいところではありますが、非常に良いシーンですね。またほほえましくもあります。

その後のカルボナーラも伏線的な機能を果たしています。

承:オリビア

  • 起:執筆
  • 承:フリルの傘
  • 転:オスカーのトラウマ
  • 結:オリビアとの過去
オスカーの口述を代筆するヴァイオレット。

すると、オスカーから面白いかと問われ、共感していることを話すヴァイオレット。

庭に出ると、ヴァイオレットはフリルの傘を見つけます。オスカーは自室で休むというも、ヴァイオレットがその傘をさしているところを見て、娘との思い出がフラッシュバックし、庭に飛び出し傘を払いのけます。

ヴァイオレットに帰るようにいうオスカーに「何か心に隠していることがあるのでは?」というヴァイオレット。

オスカーは娘のオリビアとの過去を語り、ヴァイオレットは「別れることは寂しく辛いこと」だと知り涙を流します。

燃えている火が消えている」に対して、ヴァイオレットが「どうやって消えるのですか?」と聞くのは後半の「燃えている自分の体」の火の消し方を聞いたのかと邪推できるところが面白いですね。

また、質問の答えにオスカーが舞台上のセットについて話すところはオスカーが舞台の作り手であるというデティールが表現されていていいですね。

その後の外のシーンでは、傘という小道具を使って、オリビアのトラウマが引き出されています。

オリビアとの過去では、先ほどのカルボナーラが出ていますね。

また、「湖の上を渡ってみたい。あの落ち葉の上を歩けるかな?」「傘をさして風を利用すれば歩けるかもね」「湖の上を歩くところをいつかきっと見せてあげるね」というセリフには伏線的な機能がありますね。

その後のヴァイオレットが涙を流すシーンでは、先ほどの共感するという話が前振りとしてここで機能しています。

その後のオスカーがヴァイオレットに謝りに行くシーンでは、オスカーの心理的な変化が表現されています。長いシーンではないですが、このシーンがなしに次のシーンに行くと繋がりが悪くなってしまうので、重要なシーンです。

転:いつかきっと

  • 起:クライマックスを執筆
  • 承:悩む
  • 転:湖の上を走る
  • 結:別れ
クライマックスを執筆する二人。

怪物を倒した後どうやって父親のもとに帰るかで悩むオスカー。

話し合う中で傘で風を捕まえて飛んで帰る着想を思いつくオスカー。

イメージをつかみたいからヴァイオレットに「出来れば湖の上を走るように」言います。

ヴァイオレットが湖の上を走る様子を見て、オリビアが過去に行った「湖の上を走る」といういつかきっとの約束が脳裏に浮かび、思い出があふれ出してオスカーは泣いてしまいます。

そうして、執筆が終わり、オスカーからオリビアの傘を託され、別れます。

執筆に生きず待った時に、先ほどの回想での水鳥や傘で飛ぶという話が伏線回収されています。

そのイメージをつかむために、ヴァイオレットに実演してもらうシーンは見せ場ですね。

その姿にオリビアとの思い出が蘇ってくるオスカーのシーンは非常にいいですね。見せ場のために「いつかきっと」という伏線を撒いておいたので、お話し的にも盛り上がりのある見せ場になっています。

最後の別れでオリビアの傘を渡されるシーンは、オリビアへの悲しみが吹っ切れたというところでしょうか。

結:ヴァイオレットとギルベルト

  • 起:燃えている
  • 承:亡くなった?
  • 転:クラウディアに詰め寄る
  • 結:「  」
船の中で自らの罪で苛まれ、クラウディアに言われた燃えているという言葉で自分を責めます。

そんなヴァイオレットが船から降りると、身元引受人であるおばさんとばったり会います。そして、ふとした言葉からギルベルトが亡くなったことを知ります。

その真偽を確かめるべくクラウディアに詰め寄るヴァイオレット。クラウディアの口からはインテンス最終決戦の話が語られ、ギルベルトの生存が絶望的だと伝えられます。

クラウディアに受け入れるように言われるも、ヴァイオレットはその場から走り去っていきます。

これまで人々と触れ合ってきたことで、人の心を知るという成長をしてしまったが故に、自責の念に駆られるヴァイオレット。この成長したはずなのに、逆に精神的に追い詰められるというのはヴァイオレットというキャラの特殊な造形がなせる技ですね。

オスカーの話での「いつかきっと」を叶えましたが、ここでもヴァイオレットが「誰かのいつかきっとを奪ってしまった」と逆転しています。オスカーの話と繋がっているところは良い点ですね。

その際「燃えている」という#1でのクラウディアのやり取りが効いてきていますね。過去の自分が「燃えていません」という言葉に「燃えています」と返すところはヴァイオレットの成長と罪の意識の芽生えが表現されていていい演出です。

また、ギルベルトの死を知るきっかけとして、エヴァーガーデン家のおばさんから聞くという思わぬところから発覚するというところもポイントです。

ギルベルトが亡くなったかもしれないと聞かされ、クラウディアの元から走り去ってしまうヴァイオレットのシーンはフックになっていますね。

また、あえて副題を「  」にしているところも意外性が出ていて面白いと思いました。

マトショーリカ構造

マトショーリカ構造とは物語の中に物語を設定し、それを小道具やテーマ、説明などに使うことです。

この#7では、「赤い悪魔」「オリーブの冒険」が登場し、いずれも何らかの意味を持っていましたね。

このマトショーリカ構造の利点として、モチーフやテーマを強調やコントロールすることが容易になります。

例えば、#6では「アリー彗星」の記述に「その別離は悲劇にあらず」という記述があり、この記述を作り挿入したことによって、その後の別れのシーンの導入として機能しています。

2つ目に、このマトショーリカ構造の利点として場所やシチュエーションを選ばず、内容の自由度も幅広いというところです。

難点としては、中に作った物語がわかりにくいことです。

#6でのアリー彗星についての記述や#7での「赤い悪魔」「オリビアの冒険」では概要が語られることはあるものの、中身に共感できるほどわかるようにはなっていません

あくまで小道具的な使い方として物語を使っているからです。

もしも、それを題材レベルまで使おうとするのであれば、中身まで語る必要が出てきます。であれば、既存の誰でも知っている童話を引用するのがベターです。

自由度は下がりますが、童話や寓話は無限大にあるのでそれを見つけられさえすれば、中身もわかり、より読者が楽しめるようになります。

加えて、童話を使うことによって、物語の外からも情報を取り入れることができるので情報の圧縮にもなります。

このように物語の中に物語を作ってモチーフにするマトショーリカ構造はいろんな応用が利くテクニックです。ぜひ活用してみてください。

終わりに

今回のポイントは「マトショーリカ構造」でした!

物語の中に物語を作ることで自由にモチーフを作り、ドラマを盛り上げてくれます

また、既存の童話などを使うことで、より分かりやすくなり、情報の圧縮にもなります。

ぜひ、試してみてください!

さて、このヴァイオレットの物語も佳境に入ってきました。

今まで伏せられていた秘密が明かされヴァイオレットが何を思い、どんな行動していくのか。そこに注目です!

個人的には、秘密の明かされ方が勉強になりました。

思わぬところから秘密が明かされる。そして、ヴァイオレット、クラウディアがピンチに陥る。自然でいい明かされ方だと思いました。

今後も分析をしつつ、そんな創作の引き出しを増やし、発信していきます!

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