切なさを演出する静かな失恋 ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン#6 シナリオ分析してみた!!

#6どこかの星空の下で

シリーズ構成:吉田玲子 脚本:浦畑達彦

今回のポイントは感情の「静かな失恋です。

静かなというのは「相手に知られず、自分だけ振られたことを知る」という意味です。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンではあまり強く表現されてない恋愛描写ですが、今回はそこに注目して分析していきます。ネタバレ注意!

起承転結

  • 起:二人一組
  • 承:リオンとヴァイオレット
  • 転:彗星
  • 結:別れ
簡単なあらすじ
シャヘル天文台に持ち込まれた大量の本を写本するため、ヴァイオレットたち自動手記人形が集められた。リオンはヴァイオレットと写本をするうちに、自動手記人形の偏見が解け、ともに彗星を見る仲に。リオンはヴァイオレットと別れ際、自分のやりたかったことをやる決意を話し、再開を約束します。

リオンの気持ちを中心にしつつも、ヴァイオレットとリオンの話を展開させていますね。

見せ場にきちんと時間を配分し、その分他の途中経過を削る無駄のない構成です。

今回はリオンの心情に注目ですね。

起:二人一組

  • 起:自動手記人票の女たちとリオンの嫌悪
  • 承:旧友との再会
  • 転:ルベリアのあいさつ
  • 結:リオンはヴァイオレットと2人組

まず、起では、自動手記人形の女性たちがシャヘル天文台に集められる様子と、それを見て嫌悪するリオン。

承ではヴァイオレットが旧友たちと挨拶をした後、館長のルベリアからこの天文台の説明と今回の業務についての経緯と詳細が話されます。

そうして一人ひとり名前を呼ばれて、リオンとヴァイオレットはペアを組むことになります。

そして、リオンとヴァイオレットがタッグを組むことになります。

アバン(起)では今回の舞台の設定リオンとその友人が登場することリオンの自動手記人形への感情(嫌悪)が表現されています。アバンでリオンの感情を出しておくことで、この物語の方向性が示されてますね。

次に前回の公開代筆の話を踏まえつつ、旧友たちの話でヴァイオレットの出世ぶりをそれとなく表しています。

ここでルクリアに「元気がない」と言われるところは、後の「自動手記人形は移動が大変」という言葉の前振りとして機能しています。そして、それを前回のネタであった「表情を作るしぐさ」で返します。完全にヴァイオレットの持ちネタですね。

その後、ルベリアの話ではシャヘル天文台の舞台の詳細と仕事内容が語らているところは、自然な説明になっていていいですね。

承:リオンとヴァイオレット

  • 起:代筆
  • 承:3日分の仕事量
  • 転;ふさわしいのか?
  • 結:図書館にて

自動手記人形に嫌悪しているリオンはヴァイオレットを試すように「俺は解読がついてこられなければ無用の長物に……」といいます。

リオンが解読をするも、ヴァイオレットが代筆で完璧についていきます。

そして、3日分の仕事量をこなした二人は夜、話します。

そこでヴァイオレットは自動手記人形の仕事について、古い書物を描いた方の考えを受け取ってそれを書き写すということはとても特別で素晴らしいことだと思えるようになりました」「私はそのような素晴らしい職業にふさわしいのでしょうか」と疑問を投げかけます。

図書館ではリオンをナンパされているヴァイオレットは、リオンを否定する言葉をことごとくはねのけます。

最後に、リオンの友人がパートナーの言葉に喜んで彗星を見に誘うしかないと意気込み、「お互い頑張ろうぜ。あの子が帰る4日後までに」といいます。

代筆する本の彗星の話をすることで、転での彗星の話に転がる準備をしていますね。

また、代筆の際の言葉も伏線になっています。

このリオンがヴァイオレットを試すところはリオンの素直になり切れないところが表れていていいですね。

3日分の仕事量というところもヴァイオレットと張り合おうとしたリオンの意地が表現されています。

ヴァイオレットに少し似ていますねと言われます。これは以前にも紹介した同一行動というテクニックですね。

最後のリオンの友人の言葉は、彗星に誘うという後半の方向性と、4日後までにというタイムリミットを設けています。しかし、この4日後は後の転ではダイジェスト形式になっているため、この承を締めるための言葉という意味合いになっていますね。

転:彗星

  • 起:彗星を見に誘う
  • 承;リオンの結城
  • 転:両親の話
  • 結:彗星
補足
ヴァイオレットを探すリオン。

ヴァイオレットを発見し、アリー彗星を見てみたくはないかと、遠回しに誘います。

そうして、彗星が見える当日。リオンとヴァイオレットは星空の下で各々の過去について語ります。

リオンは父と母のこと。恋愛は人を馬鹿にしてしまうこと。

ヴァイオレットは自分を庇護してくれたギルベルトのこと。さみしいという感情を知ります。

そんなヴァイオレットにリオンは契約期間中にギルベルトが危険だと知ったらどうするかと意地悪な問いかけをします。

ヴァイオレットの回答を聞いて、リオンはヴァイオレットに「それは愛している」と言いかけます。

「愛している」という言葉を遮ってヴァイオレットは彗星の尾が大きく伸びているといいます

リオンがアリー彗星を一緒に見ようと誘おうとするシーンでは、フランスパンが握りつぶされますが、あれはリオンの緊張感を増幅して映像的に表現しています。わかりやすくなっていていいですね。

彗星の下でのリオンの過去は、リオンがどうして女性が嫌いで、孤児なのかを繋げる話になっています。女性であるヴァイオレットに苦手意識を持っていても不思議じゃないですね。

ヴァイオレットがギルベルトを思う心の中に寂しさがあることに気づくところもいいですね。しっとりとした感じがうまく出ています。

また、リオンが「愛しているんじゃ」という言葉を遮るところはすれ違いですね。

そして、最後のヴァイオレットがアリー彗星の写本の引用をするところは次の別れのシーンにつなげるための繋ぎになっています。

結:別れ

  • 起:自動手記人形との別れ
  • 承:リオンとヴァイオレット
  • 転:決心
  • 結:リオンの独白
契約が終わり帰っていく自動手記人形たち。

ヴァイオレットを見送るリオン。

リオンは自分が父と同じ文献収集をしたかったんだと告白し、リオンもヴァイオレットと同じように大陸中を回るといいます。

そして、どこかの星空でまた会うかもしれない、その時はまた一緒に星を見てくれるかという言葉をヴァイオレットに送ります。

そして、最後にリオンの言葉で締めくくられます。

リオンがヴァイオレットと別れるシーンでヴァイオレットがゴンドラで去っていくとともに、彼女に伝えるために声が大きくなっていくという演出はリオンの感情の高ぶりを表しているようでとてもいい演出ですね。

最後の#3のように「どこかの星空の下で」というリオンの独白のでとてもきれいに締めくくられています。ヴァイオレットに素直に言葉を伝えられないリオンが、ヴァイオレットに自分の言葉を伝えるようになり前に進めるようになるという成長が描かれていますね。

静かな失恋

今回のポイントは「静かな失恋」です。

ここで今回取り上げたいシーンは、リオンがヴァイオレットに意地悪をいうシーンです。

リオンは「俺との契約期間中にその人が危険だと知ったらどうするか」という質問でした。

ヴァイオレットは「その人のもとへ行く」と答えましたね。

リオンの質問の意味を恋愛的に捉えると、「俺をとるか、その人をとるか」「その人に対して、リオンの母のように恋愛的な感情を持っているか」と試すようなものですね。

この質問をして、ヴァイオレットは恋愛的にその質問を捉えずに「その人のもとへ行く」。

リオンの立場から聞くとそれは、「その人に恋愛感情を持っており、その人のもとへ行く」という答えになっています。

つまり、リオンの立場からは振られた。ヴァイオレットはただ、質問に答えただけ。

この「相手が知らないところで自分だけ振られたことを知る」という静かな失恋によって、このシーンではリオンの切なさがにじみだします。

その後のリオンが平静を装い立ち上がるシーンからも切ない感じが伝わってきますね。

この切なさを生み出す静かな失恋は会話だけじゃなく、ちょっとしたしぐさや行動などでも作り出すことができます。

例えば、自分が片思いしていた人が別の男と手をつないでいるところを見てしまった、など。

そして、この切なさをより多く作り出すためには、その前までに相手に対して好意をいただいているのをどれだけ表現できるかが重要です。

好きだけれど、振られてしまうというギャップの分だけ切なくなります。

また、この切なさを生み出した後の処理も重要です。

リオンの場合は、吹っ切れたように最後に「また一緒に星を見てくれるか」といいます。

このように切なさから吹っ切れる感じで処理するのは王道でいいですよね。後味のいい終わり方です。

逆にヤンデレテイストにするのもアリです。この後処理によって物語の展開が大きく変わるのでいろいろ試してみてくださ!

終わりに

今回のポイントは切ない気持ちになる「静かな失恋」でした。

相手は知らないところで、自分だけが振られたことを知る。そんな切ないことはありません。

この切なさを演出の仕方は今回のように会話だけでなく、ちょっとしたしぐさや行動によっても表現できます。

また、振られた後の処理も重要です。

ぜひ静かな失恋を実践してみてください。

今回の一番のネタはやはり、ヴァイオレットの作り笑顔のところが個人的にいいなぁと思いました。

普段、ギャグをしないヴァイオレットがギャグをかますと、シュールになって面白く、和みますね。

今後もこういったお茶目さが続くのか期待です!

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