対立をいくつも生み出す情報の小出しとは!? ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン#4 シナリオ分析してみた!!

#4「君は道具でなく、その名に似合う人になるんだ」

シリーズ構成・脚本:吉田玲子

ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン#4のシナリオ分析です 。

今回のポイントは「情報の小出し」です。

情報を一気に出してしまうと、そのシーンだけで対立が終わってしまいますよね。そのため、情報を小出しにして対立を多く作ることで、物語が転がり面白くなります

今回はそんなところに注目していきます。 ネタバレ注意!

起承転結

  • 起:指名と事故
  • 承:誕生パーティーの招待状
  • 転:パーティーの当日
  • 結:手紙
簡単なあらすじ
アイリスは初の指名で浮かれるも、事故で手を骨折してしまい、ヴァイオレットと故郷カザリへ。そこでアイリスの誕生パーティーの招待状を依頼され、リストにレイモンの名前が書かれていることを知ったアイリスはヴァイオレットにレイモンへ出さないように指示。しかし、招待状を見て来たレイモンを見て、振られたことをヴァイオレットに告白。そんなアイリスにヴァイオレットは手紙を書くように告げます。

今回はヴァイオレットとアイリスの話です。アイリスがかなり感情的なキャラなので、ヴァイオレットとは真逆ですね。

起:指名と事故

  • 起:指名!?
  • 承:浮かれるアイリス
  • 転:階段から落下

故郷から指名が来て驚くアイリス。

そんなアイリスの指名祝いで自動手記人形の面々でランチに行こうとする際、アイリスは階段から落ちてしまいます。

ここでは指名と、OP後に発覚する骨折の方向性が示されています。

落下するアイリスと手を伸ばすヴァイオレットという描かれ方からも、今回の話がヴァイオレットとアイリスの話だということが分かりますね。

この階段から落ちるというところでOPに行くところは、フックですね。

承:誕生パーティーの招待状

  • 起:骨折
  • 承:故郷と偽名
  • 転:招待状とリスト
  • 結:配達終了
補足

骨折し、ヴァイオレットと同行することになったアイリス。

故郷のカザリに到着すると親族がお出迎え。そこで依頼人の「サラ・フローレンス」という名が、母の偽名だと発覚します。

その後、虚偽の契約だったため新たに契約を結び直し、アイリスの誕生パーティーの招待状を書くことになります。招待状を出すリストを見ると、男の人が多いことに不満を持ち母と言い合いになるアイリス。

アイリスはそのリストの中にエイモンの名を見つけ動揺し、ヴァイオレットに出さないように言いつけます。その後、ヴァイオレットは配達を終えます。 

まず、アイリスとヴァイオレットの電車内でのシーンでは、カザリの土地を話題にしつつも戦争ライデンの話へと展開しています。戦争の話が出てくるということは今後の話に絡んでくるということでしょうか。だとするとここは伏線ですね。

また、アイリスが「おじさんが戦争にいかずに、無事で済んだ」と笑顔で言って、その後ヴァイオレットの手を見て謝るというのもくだりも少しコメディっぽくなっています。

ここでのコメディっぽさはボケとツッコミですね。漫才の基礎であり、コメディなどでは良く使われる手法です。

ツッコミが常識的なことを話す一方でボケがボケることで、常識と非常識的なボケとのギャップが生まれ、面白さを生み出しています。

このシーンでは、アイリスが遠回しに謝った理由を説明するも言葉が足らなかったため、ヴァイオレットに上手く伝わらず、ヴァイオレットが大真面目に言葉の意味を探ります。が、察せないヴァイオレットにイライラして話を打ち切るアイリス。

ここでのボケはヴァイオレット。アイリスがツッコミです。

また、家族と合流するシーンでは、見栄を張りたいアイリスとそれを察せずに邪魔するヴァイオレットというボケとツッコミになっています。ただし、アイリスは言外にはツッコミを入れず、ヴァイオレットの言葉を遮っていますね。

加えて、このシーンの後に、アイリスの父の笑顔があることで、二人のやり取りが微笑ましいものになっているのも注目すべきところですね。

その後の偽名で呼びつける母に怒るアイリスを遮って、ヴァイオレットが事務的に対応して帰ろうとし、そこをアイリスが止めるところも面白ポイントの一つかなと。本来、怒って帰るはずのアイリスが止める立場に逆転していますね。ヴァイオレットがボケで、アイリスがツッコミです。

このように、ここではボケがヴァイオレット。ツッコミがアイリスという役割が固定化されたボケとツッコミが展開されています。このボケとツッコミはシーンとしての骨はなくても肉としての面白さを生じさせることができます。それによって、シーンの一つ一つが退屈なものからコミカルな面白さへ変化させるので、使いこなせると強力な武器になりますね。

ちなみに、到着する際にアイリスが泥水を踏んで、靴につくという描写ですが、これはハイヒールという都会的なものに、田舎の泥臭さがついて顔をしかめるという心理描写(シャレード)になっています。

あと、前回の#3のルクリアの手紙を書くシーンからヴァイオレットが手袋を手で外すようになっています。これまでは口で外していたのは、義手がなれなかったのもあったのでしょうが、見ているとどこか野性的な印象になりますよね。

手で外すことで人間らしさ。つまりは「人の心が分かってきた」という心理描写(シャレード)なのかもしれません。

また、最後の配達完了のシーンでの「大したもてなし」という言葉で会話が続いているという会話の流れにも注目ですね。とてもきれいな流れです。

転:誕生パーティー当日

  • 起:パーティ当日
  • 承:エイモン
  • 転:振られた
  • 結:人の気持ち

当日、招待状を見たエイモンがパーティーに来てしまいます。

アイリスはヴァイオレットに詰め寄るも、「アイリスの母から確認を取って、出すようにと言われたので出した」とのこと。

アイリスは部屋に引きこもり、パーティーは終了。

ヴァイオレットに理由を問われ、振られたからと告白し泣くアイリス。その様子をヴァイオレットは親族に伝えたことで、アイリスから「人の気持ちが分かんないのね!」と言われてしまい、ヴァイオレットは謝ります。 

このパーティでのアイリスとエイモン、母、ヴァイオレットの位置関係が少し曖昧で分かりにくくなっていますね。ただ、話の本筋とは関係ないので大丈夫ですが、アイリスがヴァイオレットに詰め寄る際にヴァイオレットに向かって歩くシーンを入れるとより自然ですね。

その後のアイリスが本心を打ち明けるシーンでは、「振られた」と告白したアイリスにヴァイオレットが性格に言い直すことで、アイリスの心を抉るえぐみが加わっていますね。

ここで今回の注目ポイントである「情報の小出し」です。

ここでは母とアイリスという以下のような対立構造になっています。

  • 最初の出会いのシーンでは偽名を使う母と怒るアイリス。
  • 次は誕生パーティーをお見合いパーティーする母と怒るアイリス。
  • エイモンに手紙を出す母と泣くアイリス。 

これは承での「ボケとツッコミ」にも通ずる話で、母はアクション(ボケ)を起こす側に対して、アイリスはリアクション(ツッコミ)を起こす側になっています。ただ、感情のベクトルが違うだけなのです。

このアイリスのリアクションによって、情報が小分けにされています。

例えば、最初の偽名のシーンではアイリスが怒り、ヴァイオレットが事務的に対応しなければ、すぐ次のシーンで誕生パーティーの話になり、骨だけの話になってしまいます。

ですが、そこで母の話が遮られることによって、ワンクッション挟まり話に肉が生まれ情報が小出しになります

それによって、後のシーンも対立があるシーンになっており、母とアイリスが対立しているということが十分に描かれることになります。そして、その後の手紙のシーンでの和解は今までの対立の分だけ深みのあるシーンになります。

結:手紙と花

  • 起:愛してるは勇気のいる言葉
  • 承:手紙
  • 転:アイリス
  • 結:ヴァイオレット
補足

アイリスからエイモンとの過去を聴き、「愛してるは勇気のいる言葉」だと知ります。

アイリスはヴァイオレットにパーティーに来た人たちに向けて、お詫びの手紙の代筆を依頼します。

そんなアイリスにヴァイオレットは両親にも手紙を書くことを提案します。

そして、アイリスが帰る際に両親がアイリスの花をプレゼント。

ヴァイオレットが花のことを聞くと、アイリスの花が満開になった際に生まれたからこの名前になったと答え、ヴァイオレットは自分が名前をもらった少佐との日を思い出します。 

このアイリスの名前→ヴァイオレットの名前というのはシーンを繋ぐ時によく使う連想法ですね。連想を突かいことによってシーンの切り替えをより自然にする効果があります。

また、ヴァイオレットの少佐との思い出で最後は締められました。2重で締めくくることで、あったかい感じが2倍になっていますね。

その前のヴァイオレットが片言になっているところは、ヴァイオレットのよく分かってない感じが心理表現(シャレード)になっていますね。ちなみに、ボケとツッコミという見方では、ヴァイオレットがボケ、アイリスがツッコミです。

加えて、アイリスがヴァイオレットのことを少し分かったというところは、承のヴァイオレットと同行するシーンでの「ヴァイオレットのことが分からなかった」という言葉とになっています。この言葉でアイリスの成長が描かれていますね。

終わりに

今回のポイントは「情報の小出し」でした!

情報を小出しにすることで対立をより多く描き出し、それによってクライマックスの和解をより味わい深くしています。

それを可能にしているのが、アクションとリアクション。アクションに対して、何らかのリアクションを返すことでそこで話の決着がつき、別の方向に飛ぶことで情報が細かくなります。

これをコメディに応用するならボケとツッコミ。

ボケがボケてそれにツッコミを入れる常識人という構造によって退屈な会話がコミカルな形に変わります。これを使いこなせれば、一つ一つのシーンがさらに面白くなるのでぜひ使ってみてください!

また、このアクション、リアクションの役割は今回は固定的でしたが、変化するパターンもあるので研究してみると面白いかもしれませんね。

ちなみに、アイリスの過去が語られた際の空の色と、ヴァイオレットの過去の空の色が若干違うところも凝っていていいですね。ある意味、心理表現(シャレード)になっていますね。

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