ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン#12 シナリオ分析してみた!!

 #12「No title」

シリーズ構成:吉田玲子 脚本:鈴木貴昭

今回のポイントは「2重説明」です。

小説や脚本では限られた枠の中で同じ説明をすると、尺を無駄に削ったり、くどくなってつまらなくなってしまいます。

が、今回の話ではあえてそれがなされています。

それに注目して、今回は分析していきます。ネタバレ注意!

起承転結

  • 起:和平交渉へ
  • 承:それぞれの思惑
  • 転:発進
  • 結:戦闘開始
簡単なあらすじ

和平交渉するべく、大陸縦断鉄道に乗り込むカトレアとベネディクト。護衛するディートフリート

ヴァイオレットはその列車が襲われると知り、乗り込む。

が、ガルダリクの単体勢力によって、護衛兵とカトレアたちは分断されてしまう。

そんな不利な状況の中、ヴァイオレットとディートフリートはガルダリクと戦っていく。

そんな中ヴァイオレットは人を殺さずに戦おうとする。

前回までの#10#11まででヴァイオレットは人の死に触れてきました。

その経験によって、ヴァイオレットがどういう成長を、変化をしたのかが見どころですね。

起:和平交渉へ

  • 起:護衛任務
  • 承:ヴァイオレット、ディスタリーへ
  • 転:カトレアたちとディートフリート
  • 結:優しい手紙
補足
和平交渉を妨害する反対派から特使を守ることになったディートフリート。

そこに調印式の代筆をするために同行するカトレアとベネディクトが。

一方、ヴァイオレットは会社に戻るべくディスタリーに向かっていた。

まず、アバンではディートフリートが護衛任務をするという目標が設定されていますね。同時にディートフリートがフィーチャーされることも示されています。

OPを挟んでディスタリーに向かうヴァイオレットのシーン。

その後、カトレアとベネディクトが今後の予定を説明されるシーンに切り替わります。

そこでカトレアとディートフリートの会話で、カトレアの「ヴァイオレットの少佐の」というカトレアっぽいセリフが出てきます。

キャラらしさという意味では、その後のベネディクトの「必死で頑張ってる」とカトレアの「優しい手紙を書く」というニュアンスの違いにも注目ですね。

承:それぞれの思惑

  • 起:反対派の思惑
  • 承:爆発の後
  • 転:合流
  • 結:命令

和平を中止させるべく、反対派は勢力を結集させていた。

一方、ヴァイオレットは飛行機の上から反対派が起こした爆発後を視認。

異変に気が付き、鉄道に乗っていたカトレアたちに合流。

ディートフリートにそのことを伝え、命令をもらおうとするも「まだ命令が欲しいのか」と言わてしまう。

ここでメルクロフ率いる反対派の思惑が語られます。

また、このシークエンスでは、何回かグランデッツァ大鉄橋、インテンス、爆発のことが話されます。

ここが今回のポイントである2重説明です。

脚本の基本では同じ説明を何度もすると、くどくなったりその分尺が取られてしまうため避けるべきとされています。

ですが、あえて、ここではあえて何度かキャラを変えて説明がなされています。

西洋ファンタジー色の今作では、ディティールを担保することでお話をきちんと伝えるという意味では何度も説明がなされるのは大事です。

が、ここでは、それぞれのキャラの因縁などを印象付けたかったからでしょう。

インテンスはメルクロフやヴァイオレットにとっては何かを失った場所です。

今回はその因縁の二人が今回相対する話ですから、やはり大事なところです。

また、グランデッツァ大鉄橋には二つの国を繋ぐというシャレードがかかっているのと、その後の推理でも使われるために説明がなされています。

このように、2度も説明がなされるのは何らかの意味があります。そこを一歩踏み込んで考えてみると、物語を別の視点から見ることができます。

そして、最後に、司令部と反対派の方向性が語られます。この二つの勢力の情報の差に注目してみると、このシーンの深みがさらに増すかと思います。ここでは割愛。

転:発進

  • 起:推理
  • 承:潜入
  • 転:敵襲
  • 結:車内にて

ディートフリートはグランデッツァ大鉄橋で何か仕掛けてくると考える。

そんな考えの最中、乗り込んでいた反対派によって、車両が切り離され兵が乗っている車両と離されてしまう。

爆発で敵襲に気が付いたヴァイオレットは特使の安全を確保しつつもディートフリートと合流。

その後、車内にいた反対派を鎮圧する。

まず推理でグランデッツァ大鉄橋で何かあると考える二人。次の#13でのクライマックスのために必要なシーンですね。

ここでディートフリートが外部と連絡を取って何かすることが出来れば、辻褄的には良かったのですね。

車両が切り離されて、護衛兵と分断されるのは少しご都合主義的ですね。特使の近くに警備兵を配置させたりするはずですから。好意的に考えれば民間人も一緒に乗っていて、兵がいると目立つから警備させていないと考えることも可能ですが。なんにせよ、主人公たちがピンチに陥るご都合は許されるのでOKです。

爆発でヴァイオレットが光を消したところは、良いところです。

その後の、ディートフリートとの会話では「命令で人を殺す人形」というディートフリートの憎しみが伺い知れますね。

人を殺すだけの人形だったヴァイオレットが弟であるギルベルトに救われ、のうのうと代筆をしていることに憎しみから、銃を渡そうとするシーンは印象的です。人を殺すという意味で、銃を渡すのも映像的です。

それに対して人形から人間に変わったヴァイオレットは、その問いにいいえではなく「武器はいりません」と答えるのもセリフの妙ですね。

そうして、不殺を誓うヴァイオレットと、「道具じゃないならなんだというんだ」と憤るディートフリート。

その後、車内の戦闘では前回の幼馴染に手紙を書いた兵を殺した相手との戦闘。前回の話があることで、ヴァイオレットの怒りが分かりやすくなっています。

しかし、不殺のために、首を締め切らずに気絶させるだけにとどまっています。

結:戦闘開始

  • 起:屋根にて
  • 承:もう誰も殺したくない
  • 転:劣勢
  • 結:ディートフリートの激情
補足

列車の屋根の上にてヴァイオレットと反対派の戦闘。

戦争をしたいのか?と問うヴァイオレットと、戦争がないと救われないと答える反対派の指導者メルクロフ。

「もう誰も殺したくない」と呟き、ヴァイオレットは相手を殺さないように戦う。

が、そのせいで劣勢に。

捕らえられたヴァイオレットは死にかけるも、そこへディートフリートが登場。

不殺を責めるディートフリート。それでも殺したくないというヴァイオレット。

そんな彼らに銃口が向けられる。

屋根の上ではいよいよ因縁の相手であるヴァイオレットとメルクロフが対峙します。

もう誰も殺したくないと誓い、不殺で劣勢になっていき、ペンダントを奪われてしまうところは絶体絶命感がありますね。

そこへディートフリートが駆けつけ、ディートフリートは不殺ではないため、銃で反対派を殺していきます。

そして、ディートフリートはギルベルトの死からくる、悔しさや怒りをヴァイオレットにぶつけます。ディートフリートの気持ちが直接的になっているシーンですね。

それに対して、反対派の銃口から身を挺して守るという行動で自分の信念を示すヴァイオレット。

その爆発で話が終わります。ここはフックになっていますね。

終わりに

今回のポイントは2重説明でした。

脚本を書く際には、2重で説明することは限られた時間を削る行為であり、くどくなるため悪手とされています。

しかし、それぞれのキャラの思惑や因縁、ディティールのためにあえて今回は2重で表現することで強調する効果を作り出しています。

少し上級的なテクニックではありますが、挑戦してみてください。

今回の話はヴァイオレットがギルベルトの死、人の死をどのように考えるかという成長に関わる話です。

ヴァイオレットがどのように変わっていくのか。それに注目して最終話も分析していきます!

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