モブの役割について ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン#11 シナリオ分析してみた!!

#11「もう、誰も死なせたくない」

シリーズ構成:吉田玲子 脚本:浦畑竜彦

今回のポイントは「モブ」です!

モブなのに、注目とはどういうことかというところですが、モブは縁の下の力持ち。陰から物語を支えているのです。

そんなモブの使われ方を今回はご紹介をしていきたいと思います。

起承転結

  • 起:メナス基地の依頼
  • 承:移動
  • 転:看取る
  • 結:届ける
簡単なあらすじ
CH社にメナス基地から依頼が舞い込む。クラウディアはドールを戦場によこすわけにはいかないと依頼をキャンセルするつもりが、ヴァイオレットが勝手に向かってしまう。

メナス基地に向かうヴァイオレット。飛行機から依頼主のエイダンが襲われているのを見つけ、飛び降りその場を制圧する。

瀕死のエイダンを小屋に運び、そこでエイダンの手紙を書くヴァイオレット。父、母、幼馴染のマリアに手紙を書くと、エイダンはこときれてしまう。

ヴァイオレットはエイダンの故郷へ向かい、手紙を届ける。そこで「助けられなくてごめんなさい」と涙を流す

若干、尺が足りなくなっている#11

ヴァイオレットとエイダンが出会うのは物語の後半、しかも兵から助けるシーンと看取るシーンのみ

それでも、ここまでドラマティックに描けるのはさすがですね。

二人が最初から出会っていないためか、ずっと使われてきたモノローグがなくなっています。脚本が変わっているからでしょうか。

起:メナス基地の依頼

  • 起:メナス基地からの依頼
  • 承:内戦
  • 転:伝えたいことがある
  • 結:出撃
クトリガル国メナス基地からの依頼が。しかし、内戦が頻発しているところにドールを送るわけにはいかないというクラウディア。そんな話を盗み聞きするヴァイオレット。

一方、メナス基地では依頼者であるエイダンの隊が出撃する。

ここではヴァイオレットがメナス基地からの依頼を受けるためのとっかかりのシーンです。

ヴァイオレットが盗み聞きしているシーンから始まり、クラウディアの口から内戦の話が説明されます。事情を知らないカトレアに話すという自然な説明セリフです。

カトレアの「伝えたいことがある」というセリフはヴァイオレットを動かすための言葉ですね。こっちは少し不自然なセリフではありますが、ヴァイオレットがどこで決意したのかが分かりやすくなっています。

その後、シーンが変わってエイダンが出撃するシーンに代わると、今回の依頼人がエイダンだということが示されます。その後にマリアの写真とハンカチを見せることで、エイダンが誰に手紙を書きたいかが示されています。

何を目的とするのかが明確になっている良いアバンです。

承:移動

  • 起:ヴァイオレットが出発
  • 承:ヴァイオレットの道中
  • 転:制圧
  • 結:エイダンとのコンタクト
翌朝、メナス基地からの依頼の封筒が消えていることに気づくクラウディア。ヴァイオレットがクトリガルに仕事があると聞き、クラウディアはヴァイオレットが封筒を持っていたと知る。

ヴァイオレットは船や馬車で移動し、クトリガルの配達屋に基地に行きたいと言い、飛行機で向かう。

エイダンたちは南の国への思いを馳せていた。そんな最中、敵の襲撃により壊滅するエイダンたち。

エイダンが一人で取り残され、敵に襲撃されてしまう。そこへヴァイオレットが駆けつける。

ここではヴァイオレットが依頼主であるエイダンとコンタクトを取るまでの流れになっています。

まず、封筒が消えているというセリフからヴァイオレットが向かったことに一同が気づくシーンでは、結の一同のシーンを挿入するための入れ子になっています。

ヴァイオレットが道中で負傷した兵士を見かけるシーンではメナス基地が危険だということが示唆されます。これらの危険だということがヴァイオレットが上空から駆けつける見せ場シーンへの前フリになっています。

その後のエイダンのシーンでは敵に襲われ、壊滅状態になります。登場人物を一気にピンチに陥れることによって、緩急をつけています。

そして、その後のヴァイオレットが飛行機から飛び降りるシーンは見せ場ですね。ヴァイオレットがガルダリク軍を退散させるところはカタルシスを作り出しています。

転:看取る

  • 起:回想
  • 承:山小屋にて
  • 転:マリアへの手紙
  • 結:エイダンの死


エイダンは夢の中で手紙の中のきっかけやマリアとの日々を思い出す。

エイダンが目覚めると、そこは山小屋。エイダンは自分の死期を悟り、ヴァイオレットに代筆を依頼する。

エイダンは両親とマリアへの手紙を紡いでいき、こと切れた。

一人残されたヴァイオレット。

転は、まず回想から始まります。ここではエイダンがなぜ手紙を依頼したのかが映像的に表されています。また、映像がエイダンから見た世界になっているという点からエイダンの夢であることが分かります。

回想の酒場では隊の面々がきちんと描かれているところは注目です。承で南の国へ思いを馳せるシーンで一言ずつ話すモブの様な兵隊ではありますが、きちんと顔に特徴があり酒場でもその顔を見ることができます。作りが細かいですね。

ちなみに、エイダンがヴァイオレットの義手を見たとき「綺麗……」というリアクションを取っていますね。他の人とは違うリアクションです。

ありがちな遺言シーンではありますが、ここでもちょっとしたテクニックが使われています。

エイダンのセリフに「今熱いよ」→「寒いよ」という変化命が燃えているというシャレードになっています。その後の焚火の様子からもそれが分かります。焚火がエイダンの命を表現もしています。

また、両親への手紙を書いた後に、咳き込みマリアのハンカチと手紙を出すのは自然ですね。

ちなみに、ヴァイオレットが指で文字を覚えておくというエアー代筆を使っているところは、状況設定上タイプライターを持ち込めなかったためそういう設定をつけたと思われます。

本当に、ヴァイオレットがエイダンの言葉を覚えていられているかは、手紙の内容を確認できないため分かりません。が、ヴァイオレットの正確無比なタイプのことなどを考えると、本当に覚えているのでしょう。

結:届ける

  • 起:エイダンからの手紙
  • 承:涙
  • 転:エイダンの死
  • 結:死なせてしまってごめんなさい


エイダンの手紙を届けるべく、エイダンの故郷に立ち寄るヴァイオレット。

エイダンの死を知り、涙するエイダンの両親とマリア。

静かに立ち去ろうとするヴァイオレットは「息子を返してくれてありがとう」と言われる。

ヴァイオレットは「死なせてしまってごめんなさい」と涙を流した。

この最後の結ではエイダンの手紙を届けるシークエンスになります。

一同が安堵するシーンが入っているのは、承での入れ子を回収していますね。安全を知っておかないと、#12での話に差し障るためこのシーンを挿入したのでしょう。

手紙を届けるシーンでは、エイダンの両親が泣いているところからスタートするのは、エイダンがマリアへの気持ちが強く、また、エイダンの死を知って嘆く姿を2重で見せないためですね。

手紙を届けるシーンで手紙の内容に触れないのも同じで、もう一度手紙の内容に触れるのは2重で内容を描くことになるので、触れないでいるのでしょう。

その代わり、マリアがエイダンの形見を見ることによってエイダンの死を知るという小道具が上手く使われています。手紙内容を見せないで死を伝えるこの小道具の使い方は抜群ですね。

そして、ヴァイオレットが母の言葉で涙するところでは、人を失う辛さを知るというヴァイオレットの成長が垣間見えます。

注目ポイント:モブ

今回の注目ポイントは「モブ」です。

モブに注目するというのも変な話ですが、この話ではモブの顔がなぜかきちんと描かれているのです。

省略すれば、尺も作画カロリーも減らせるのはずなのに、丁寧に描写しています。

それは、この回だけのキャラであるエイダンにも仲間や家族がいるというリアリティーを出すためです。

この話で言うモブとはエイダンの両親や兵の仲間などです。

エイダンの両親は手紙を送る相手として必要なので顔があるのは普通ですね。

しかし、兵隊はどうでしょうか。物語にはあんまり関連してきませんね。エイダンに手紙を送ることを提案するエールは別です。

わざわざセリフを一つずつ用意してまで兵を書く必要もなく、そのセリフも「大陸縦断鉄道」というキーワード以外にはあまり意味もない会話です。

そのセリフを出すなら郵便屋での会話でも出せたはずなので、別の意図があると考えていいでしょう。

つまり、今回死亡してしまうエイダンにも生活や仲間がいたことを表現したかったためでしょう。

エイダンにリアリティーがないと、この話の遺言も軽いものになってしまいます。モブのセリフもそれぞれが好きなものについて話すということからも、モブ一人一人のキャラも作られているようです。

モブはモブでもきちんとキャラを作っておくと、ただの説明キャラや設定上必要なコマみたいなキャラではなくなり、物語にもリアリティーが生まれてきます。

終わりに

今回の注目ポイントは「モブ」でした!

モブをキャラとして作るとことでリアリティーを作り出せます。それによって、一話だけのキャラにも現実感のある重さが生まれます。

故に、モブもキャラ設定ができるといいということでした。

今回はエイダンが鉄砲玉を受けるまでの時間が長かったせいか、尺が足らない感じになっていましたね。

その分、次回のフリとしては十分な役割をしていることが次の#12を見ればわかると思います。

そんな感じで次回も分析していきます。

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