二重構造でよりドラマチックに!! ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン#3 シナリオ分析してみた!!

#3「あなたが、良き自動手記人形になりますように」

シリーズ構成:吉田玲子 脚本:浦畑達彦

ネットでも大好評の第3話!

僕も見ていて心があったかくなりました。いい話でしたね。

今回の注目ポイントは「二重構造」です!

ヴァイオレットとルクリアの物語が絡み合っているところに要傾注です! ネタバレ注意

起承転結

  • 起:ブローチとヴァイオレット
  • 承:良き自動手記人形とは
  • 転:明暗
  • 結:再生

ヴァイオレットの成長ルクリアの家族再生が同時進行で進みつつも、上手く絡み合っているのが分かると思います。教科書のようにきれいな構成ですね。

起:ブローチとヴァイオレット

  • 起:学校へ
  • 承:ブローチは一流の証
  • 転:ヴァイオレットの敬礼
  • 結:ルクリアの心理

まず学校に行くヴァイオレット。そこで生徒たちが「道に迷いそうになった」話と「ブローチがあると就職が有利」という話をしています。

ここで、ルクリアが遅れてくる理由とブローチの意味付けが行われています。些細なセリフですが、意外に重要なセリフです。この生徒たちが話しているときは大体、何かしら伝えるためにしゃべっているため、注意して聞いてみると面白いかもです。

次に、先生が入ってきて再び、ブローチの意味付けがなされます。同時にルクリアが遅れて登場します。ここでルクリアがあえて遅れて登場することで多くの新キャラがいる画面の中で、誰にフォーカスすべきかが分かりやすくなっていますね。

そして、先生が「覚悟はいいですか?」と尋ねて、ヴァイオレットが「了解しました!」と立ち敬礼します。そんなヴァイオレットの印象をルクリアが語り、OPへ。

ここではブローチが重要な小道具となっています。生徒の噂と先生の言葉で二重ブローチの意味付けがなされ強調されているところからも、ブローチが重要であるという意図が伺えますね。

そんなブローチには「良き自動手記人形に与えられるもの」という意味付けがなされています。そして、先生の問いかけに、ヴァイオレットが「了解しました!」と敬礼することで、ヴァイオレットにとっての方向性の提示(良き自動手記人形になること)が行われています。

承:良き自動手記人形とは

  • 起:優秀な成績を収めるヴァイオレット
  • 承:ヴァイオレットの致命的な欠点
  • 転:ルクリアの兄
  • 結:それぞれの悩み

早いタイピングを見せ、優秀な成績を収めるヴァイオレット。

しかし、実際に代筆する訓練の際、ルクリアの両親宛ての手紙を、ルクリアの意図をくみ取らずに書いてしまい、先生に怒られてしまいます。落ち込むヴァイオレットを励ますために、ルクリアはヴァイオレットを塔に連れていき、ライデンの景色を見せます。

その後、ルクリアの兄が酔っぱらって倒れるシーンに移り、ルクリアと兄の微妙なやり取りが描かれます。ちなみに、名前呼びイベントが、ルクリアが「ヴァイオレット」と呼ぶ→兄のシーン→ヴァイオレットがルクリアと呼ぶという風に自然に描かれているところも注目。

結では、ヴァイオレットはクラウディアに「報告書みたいだね」と言われ、「良き自動手記人形になれるのか?」という苦悩を吐露します。反対にルクリアは酔っぱらっている兄がいる暗い部屋で、両親の宛名を見て涙を流します。ここでの両親の宛名は伏線的な機能をしています。また、吐露する相手がいないという表現にもなっていますね。

あと、代筆訓練ではヴァイオレットが最後に「少佐よりの新たな命令はまだ届きませんでしょうか?」という言葉が伏線になっています。同時に、ルクリアが「お兄……」といいかけているところも伏線になっていますね。

加えて、塔からの景色描写が美術の美しさだけで見せるわけじゃないところもポイントですね

ヴァイオレットにとっての少佐との思い出「ライデンの景色を見てほしい」という綺麗な思い出越しにライデンの美しさを見ているという描写がされています。これによって、美しい景色がただ美しいという意味以上の演出になっています。ここは小説でも使える技術ですね。

転:明暗

  • 起:卒業
  • 承:本当に伝えたい相手
  • 転:良き自動手記人形になるために
  • 結:ルクリアから兄へ

ルクリアが卒業し、ヴァイオレットが卒業できず茫然としているシーンでスタートします。ここは対比的に描かれていて、ヴァイオレットの茫然とした様子が強調されていますね。

次に、クラウディアに卒業できなかったことを伝え励まされるも、意味がないと言うヴァイオレット。半面、兄との関係が微妙のままのルクリア。

ルクリアはヴァイオレットのために学校に行き、少佐への手紙を書こうとします。が、ヴァイオレットは上手く言葉を紡ぐことができません。ルクリアは自分の両親が死んでいて、兄が「自分のせいだと思い込んでいる」と吐露し、「生きていてくれてうれしい」と伝えたいけど伝えられないといいます。

ヴァイオレットが兄への手紙を書きましょうと打診するも、ルクリアは逃げ出してしまいます。ヴァイオレットは「良き自動手記人形とは言葉から伝えたい本当の心を救い上げること」と言い、手袋を外します。

そして、ヴァイオレットは塔の前で倒れている兄に手紙を渡します。兄は手紙を読んで涙を流します。

ここでどうしてヴァイオレットが兄の居場所を知っていたのかという疑問はありますが、あまり気にならないのは不思議です。勢いでしょうか。自然であればご都合主義敵でも問題ないですね。

この転では、心理描写が光っています。塔が再び象徴的に描かれており、承ではルクリアは「お気に入りの場所」転での兄は回想では「輝かしい大切な過去」という表現がなされ、かつ、手を伸ばして諦めるという「もう届かない場所」という表現がなされていますね。

ちなみに、兄に手紙を渡すシーンとルクリアが訪ねてくる間に、ベネディクトとカトレアの「仲良し→喧嘩」のシーンが挟まっており、シリアス疲れをしない構造にもなっています。

結:再生

  • 起:訪ねてくるルクリア
  • 承:手紙
  • 転;良き自動手記人形になりますように
  • 結:素敵な女の子

早朝、ルクリアがヴァイオレットを訪ねてきます。

次のシーンでは学校で先生に「手紙をルクリアから見せてもらいました」と告げられます。

そして、「良き自動手記人形とは人が話している言葉の中から伝えたい心を救い上げること。あなたはその一歩を踏み出しました。ヴァイオレット、あなたが良き自動種人形になりますように」という言葉を先生から贈られ、ブローチをつけてもらい卒業します。

最後はルクリアと兄が塔に一緒に登り、ルクリアの独白で綺麗に締めくくられます。ちなみに冒頭のルクリアの独白と対になっています。また、兄の回想では兄がルクリアの手を引いていたのに対して、今度はルクリアが兄の手を引いているというにもなっています。

兄との関係を再生したルクリア。ブローチによって卒業というゴールを迎えたヴァイオレット。それぞれが悩み苦しんだ果てに良い結末を迎えましたね。

「二重構造」

ここまで全体の流れを解説してきました。今度は注目ポイントである二重構造についてです。

二重構造の最大のメリットは、二人分の物語を紡ぐことができる点です。

「ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン」では、ヴァイオレットが主役です。故に、ヴァイオレットの成長を描かないといけません。しかし、それだけだとマンネリ化してしまいます。

そこで二重構造を使ってルクリアが悩みを挿入します。すると、ルクリアの小さな起承転結で第3話での綺麗な締めを作ることができ、かつ、ヴァイオレットの成長を描けます。これによって、面白さの足し算ではなく掛け算が行われますね。

しかし、この二重構造を成立させるためには二人分の物語をきちんと設定できなければなりません。

この第3話では、ヴァイオレットとルクリアの二人のキャラの欠落→回復を描いています。そして、この二人のゴールとしてそれぞれ

  • ヴァイオレットは「良き自動手記人形になるために」→卒業の証であるブローチ
  • ルクリアは「兄との関係再生」→塔を二人で登る

が設定されています。

障害それを乗り越える設定は、

  • ヴァイオレット:上手く心を救い上げられない→ルクリアに共感し、その言葉を紡ぐ
  • ルクリア:兄との意思疎通ができてない→ヴァイオレットに代筆してもらい、想いを兄に伝える

という風にお互いが障害を乗り越えるための要因になっています。

この障害を乗り越える設定が噛み合っていないと、二重構造は上手く機能しません。独立した物語になってしまい、二重構造の掛け算が行われないからです。独立した物語なら完全に分けてしまったほうが無難ですね。

また、もう一つの二重構造の欠点である描写の少なさは映像表現という強みを生かして、心理描写(シャレード)や増幅を詰め込むことで、心理描写の不足を上手く補っていますね

加えて、お互いがになることでお互いの辛さを上手く強調、増幅しています。(ルクリアは卒業、ヴァイオレットはできず。ルクリアは孤独、ヴァイオレットはCH社の仲間)

よって、二重構造が綺麗に収まっている美しい構成になっています。

終わりに

今回のポイントは「二重構造」で、二人の物語を紡ぐことで一人分の物語以上の面白さを実現させる構成でした。

今回は長くなるためあえて説明しなかったのですが、小道具心理表現(シャレード)がこの#3ではたくさん散りばめられています。そこに注目してもう一度見てみるといいかもです。

ちなみに、一番多かったのは増幅の技術だったので、テーマにするか迷いましたが、構成があまりにも綺麗だったため、二重構造を選択しました。

あと、対表現が多い第3話だったので、そこも確認しながら何週もすると面白いかもしれません。何週もしてやっと新しく気づくこととかありますから、是非!


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