小道具の使い方 ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン#1シナリオ分析してみた!!

#1「愛してる」と自動手記人形

シリーズ構成・脚本:吉田玲子

今回はヴァイオレット・エヴァーガーデンのシナリオ分析してみました!

重厚な音楽や効果音、美麗な背景など最高の素材がふんだんに使われてます。クオリティは今季随一ですね。

もちろん、演出や脚本もかなり練られています。

今回のポイントは「小道具」です。映像表現では非常に重要な小道具ではありますが、もちろん、小説に応用することも可能です。

では、シナリオ分析していきます! ネタバレ注意です!

起承転結

  • 起:退院
  • 承:エヴァ―ガーデン家
  • 転:会社
  • 結:依頼人の登場

第一話はどのように物語の説明をするかという重要な回。

そんな第一話では必要最低限の説明をするのみにし、シーンの一つ一つに起伏に注力している印象ですね。

起:「退院」

  • アバン:療養と夢
  • 起:クラウディアとヴァイオレット
  • 承:少佐
  • 転:車中
  • 結:回想

まず、アバンではヴァイオレットのからスタートします。ここでは「ヴァイオレットの少佐への気持ち」が表現されつつも、後に小道具として使われる少佐の瞳と同じ色をしたエメラルドのブローチが伏線的な登場をしています。

その次の起では、クラウディアが退院するヴァイオレットを迎えに行くシーンです。

ヴァイオレットはクラウディアに少佐について執拗に聞こうとします。一度目は看護師に助け舟を出されるも、再び少佐について聞かれてしまい、なんとかごまかすクラウディア。

転の車に乗る前では、ヴァイオレットは自分の荷物にエメラルドのブローチがないことに気づきます。先ほど登場した際には「少佐と瞳と同じ色」「少佐との思い出の品」という意味が付けられたので、エメラルドのブローチがヴァイオレットにとってとても重要なものであるというのが分かりやすくなっていますね。

そして、探しに行こうとするヴァイオレットの腕を掴んだクラウディアは、彼女の腕に違和感を覚えます。ちょっとした表情の変化ではありましたが、ここも伏線になっています。

転では車内でクラウディアがヴァイオレットに退院祝いでぬいぐるみを渡そうとします。が、ヴァイオレットはそれを一回拒否します。が、無理矢理ヴァイオレットに一つを選ばせます。ヴァイオレットが選んだのは子犬

子犬を選んだ理由は「少佐の兄に『お前はギルベルトの犬だな』と言われたから」という。

その後に回想のシーンが挿入されています。ここでヴァイオレットの過去にどんなことがあったのかを仄めかしていますね。

そこで少佐の「ヴァイオレット自由になりなさい……心から……」というセリフにはクライマックスを綺麗に締めるための伏線的な機能があります。また、前半の「自由になりなさい」はこの一話後半での方向性を表しています。一度で二度おいしいシーンですね。

この起で注目すべきところは、クラウディアが嘘をつく際に、「ポケットに手を突っ込むや、ポケットの中で手に力を込める」という描写で表現されています。小説だと地の文で「嘘をついた」と書いてしまえば良いですが、映像では同じように表現できません。

なので、このように映像の比喩表現(シャレード)を駆使して表現していますね。

シャレードとは尾崎さんのブログから引用するならば「言葉に頼らず、何かに託して表現すること」です。

映像は小説とは違って地の文は書けないので(化物語のようなものは例外)、言葉以外の方法に意味を付けて表現する必要はあります。

このシャレードの技術を小説に輸入することができれば、比喩表現が上達するんじゃないかなと。

承:「エヴァ―ガーデン家」

  • 起:エヴァ―ガーデン家へ
  • 承:お茶会
  • 転:義手
  • 結:武器としての価値

まず2人はヴァイオレットの身元引受人になってくれたエヴァ―ガーデン家に向かいます。

そこでおばさんとお茶会をし、お茶を飲むように勧められます。が、義手でカップを上手く持てずこぼしてしまいます。彼女の義手を見たおばさんはヴァイオレットに汚れてしまった包帯の代わりに手袋を渡します。

その後、クラウディアはエヴァ―ガーデン家にヴァイオレットを残していこうとします。が、ヴァイオレットはおばさんの好意の言葉を否定してしまい、去っていこうとするクラウディアを追いかけてしまいます。

「武器としての価値がなくなったなら、どこかに捨ててください」というヴァイオレット。結ではそんな彼女をクラウディアはエヴァ―ガーデン家から連れ出します。

ここの起承転結では、彼女の腕が義手であることが明かされています。

お茶をこぼしてしまうというエピソードで義手が注目されるような話の展開にしているのは地味ではありますが、効果的ですね。

また、クラウディアが嘘をついたときはポケットに手を入れるという表現がなされていましたが、ヴァイオレットが「この家で幸せに暮らすように」と言いつけられたとき、後ろ手に手を握るという表現になっていましたね。キャラごとに内心の表し方が違うのも注目ですね。

転:「会社」

  • 起:会社へ
  • 承:郵便物仕分け
  • 転:配達
  • 結:引受人

軍を止めて、会社を作ったというクラウディア。クラウディアは彼女にその会社で働くように命じます。その教える係として、ベネディクトをつけます。

ベネディクトによって、簡単に仕事内容を教えられます。

その後、休憩も取らずに仕事を完遂したヴァイオレット。そんなヴァイオレットに配達の仕事を口頭で簡単に教える。が、ベネディクトが明日やるということが上手く伝えらず、ヴァイオレットは夜間の配達を行います。

そんなヴァイオレットを見かけ、止めるクラウディア。ベネディクトと3人で晩御飯を食べつつ、クラウディアがエヴァ―ガーデン家が身元引受人だけにはなってくれるということと、会社の屋根裏を貸し出すということを伝える。

その後、クラウディアがヴァイオレットを送っていく際にヴァイオレットに意味深な話をします。

この転ではヴァイオレットの融通の利かなさを表現されています。ベネディクトの前で服を脱ぎだしたり、休憩を取らなかったり、夜間の配達をしたりなどの彼女の行動が少しコミカルに描かれていますね。

また、彼女が仕事をしているときの時間経過の演出が風景の早回しで表現されているところも注目です。

結:「依頼人の登場」

  • 起:依頼人の登場
  • 承:依頼される
  • 転:手記人形
  • 結:ヴァイオレットの意思と「愛してる」

起、承では依頼人が現れヴァイオレットに手紙を書いてほしいと依頼しに来ます。

転では依頼人の手紙に綴られる言葉と共に、ヴァイオレットの過去が回想されます。

そして、結では「愛してる」という言葉の意味を知るためにクラウディアに自動手記人形の仕事をしたいといいます。

ここで、やっと今回のポイントである「小道具」ですね。

ぬいぐるみが象徴的な使われ方をしていたので、ぬいぐるみを例にします。

子犬のぬいぐるみをクラウディアからプレゼントされたときは「少佐の兄に『お前はギルベルトの犬だな』と言われたから」という理由から。つまり、子犬=自分

依頼人が来る前のシーンにも子犬が写っているシーンがあり、そこでは暗い部屋に床に落ちている子犬。これは孤独を表現しています。

そして、自動手記人形の仕事をしたいと言った後、彼女の部屋の中央に打ち捨てられている子犬。これは「犬ではない(言いなりではない)」という表現、つまり、過去の自分を捨てて自分の意思を持ったという比喩になっています。

もしも、最初のクラウディアからぬいぐるみのシーンを削ってしまうと、この子犬の意味が分からなくなってしまいますよね。プレゼントされるシーンがあることによって、子犬にヴァイオレット自身という象徴的な意味を付けています。

このように小道具を使う際には、小道具にどんな意味があるのかをあらかじめ表現しておき、意味が分かりやすくなるようにしておく必要があります。

これも言葉に頼らず表現しているのでシャレードですね。

ちなみに、依頼人が来る朝になるまでの時間経過早回しでの演出がなされているところにも注目です。

そして、最後には少佐の「ヴァイオレット、自由になりなさい……心から……愛してる」という言葉で綺麗に締められます。カットバックで何度かの回想を経たこの言葉がクライマックスを綺麗に締めていますね。

終わりに

ヴァイオレットエヴァ―ガーデン#1シナリオ分析してみました。

かなりいろいろ詰め込んでしまいましたが、それだけ分析しがいのある良く練られた綺麗な物語でした。

今回のポイントである小道具でした。キャラの気持ちやその様子を表現する際に、小説では地の文が使えますが、映像表現では使えません。そのため、このように小道具を使って言葉に頼らずに比喩的に表現(シャレード)するために使われます。

これを小説で応用すると独特の雰囲気が出て他の方とは一線を画すような物語が書けるようになるのかもしれません。これを極めると純文学の域になるのかも?

また、彼女が少佐のことしか見えていないという表現が随所に施されていたのにも注目です。例えば、クラウディアからのプレゼントを一度拒否したり、おばさんの好意の言葉をはねのけたり、依頼人が登場する際にソファーの上に靴で乗っていたり、片腕を失った際などなど、少佐のことしか見えていないという表現にも注目して、2週目を見てみると面白いかもですね。まさに、恋は盲目

何より、この話の続きも気になりますね。彼女が「愛してる」をどのように知るのか。少佐の死を知ったときどうなるのか。自分の身体がやけどしているという言葉の意味とは、そして、「愛してる」知り、少佐の喪失を理解した先にどんな結末を迎えるのか。そういったところにも注目していきたいですね。


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