主体的行動の大切さ 天使の3P#4 シナリオ分析してみた!!

天使の3P#4「この世はすべてロックンロール」

シリーズ構成・脚本:雑破業

今回も天使の3P第4話をシナリオ分析しました。

前回の3話の最後で、3話と4話は大きな起承転結になっているといいました。つまり、今回の第4話は転と結の部分になります。それ故、怒涛の展開になってました。その分、見ていて楽しかったです。

中でも一番よかったのは、主人公である響が自分のトラウマを誰かのために克服していくところであり、見ていて胸が熱くなりました。あんなふうに誰かの心に火をつけられるような人間になりたいです。

ということで、今日のポイントは「主人公の主体的行動」です。

主人公の主体的な行動ができていないために旨みを生かしきれなかった「ガンスリンガーストラトス」というアニメがあります。

このアニメはネット配信と地上波で違うエンディングになるという画期的な試みをした点はとても評価できるのですが、その違うエンディングになるための分岐点が、主人公の主体的な行動ではなくトラックが通ったかどうかなのです。

トラックが通ったかどうかが、物語の結末に何かしら影響を与えるというのは釈然としませんね。異世界転生ものなら導入に使われることはありますが。

極端に言ってしまえば、物語全てが主人公じゃない誰か偶然によって展開されているものが面白いかどうかを考えてみると分かりやすいです。そんな物語なら、そもそも主人公は必要ないですよね。そういう意味で、今回は主人公の存在理由について考察していきます。

では、起承転結から。ネタバレ注意です!

起承転結

  • 起:リトルウィング
  • 承:響の決意
  • 転:決意の果てとその影響
  • 結:ライブ!

今回は承から転にかけての「響の行動」に注目です。

起:「リトルウィング」

まず小さな起承転結から

  • 起:「前回の続き」
  • 承:「桜花の心」
  • 転:「部外者の自分」
  • 結:「曲のフレーズを思いつく響」

まず、前回の意味深なシーンの続きからスタートします。その後、桜花からリトルウィングの3人の事情を聞かされます。

ここで巧みなのは「桜花が3人が友達を誘わない理由を話す」ことです。

これによって、桜花と3人の関係性と3人の事情を同時に説明できるため、24分という尺の中に収めるための時短効果を生み出しています。

また、転で響は「部外者の僕なら何かできるかもしれない」という動機が生まれています。

そして、結では響の行動するためのカギとなる「曲の構想」を思いつきます。

承:「響の決意」

小さな起承転結は、

  • 起:「チラシ配り」
  • 承:「おまいう大賞」
  • 転:「決意」
  • 結:「学校へ」

まず、前回同様にチラシを配る4人。そこで響は「友達に配らないか」と提案しようとするも、桜花の言葉で閉口してしまいます。

響も家に引きこもって学校に行っていなかったため、「お前が言うな大賞」という言葉が同じように突き刺さっていたのです。

しかしながら、響は3人のために、今まで行かなかった学校へ行くことを決意します。制服を箱から出したり、ネクタイをつけたりするなどの描写から不慣れな学校に行こうとする姿がカッコいいですね。

この響が主体的に行動し、3人を変えていくために行動していくところこそ、今回のポイントである「主体的行動」です。

仮に、響が桜花に「3人を変えるために学校に行って」と頼まれて学校に行った場合、物語の面白さ的にはどうでしょうか?

そんなシーンに魅力は感じにくいでしょう。なぜなら、そこには「葛藤と主体的な動機」がないからです。

このシーンでの葛藤は「響は学校に行きたくない、でも、3人を変えるために行く」です。この葛藤によって、なぜ響が嫌な学校に行くのかという動機が必要になります。そして、その動機が視聴者に共感できるものであればあるほど、視聴者に深く刺さるようになります。その動機が受動的な動機では共感しにくいでしょう。

また、嫌なことのハードルが高ければ高いほど、相応の動機が必要になってきます。その差が大きければ大きいほど、視聴者の心を揺さぶることもできます。そういった意味で、葛藤は動機を設定するときに便利なツールです。

そんな葛藤に対して、主人公は三つの選択を取れます。「主体的行動」、「受動的行動」、「逃走」です。

まず「逃走」ですが、葛藤の末、嫌なことを前にして逃げることであり、挫折を意味します。後に、同じ葛藤を前にしたときに乗り越え、成長を見せるということができます。が、今回のポイントとずれるので省略します。代表例は、エヴァンゲリオンの主人公、シンジです。

次に「受動的行動」ですが、主人公が嫌なことに対して嫌々行動しているため、選択肢がない葛藤無しの状態です。あるとしても、「逃走」の選択肢でしょうか。極限状態に追い込まれたときは、主人公たちはこの受動的な行動がしばしば強いられていますね。一応、生存したいなどの動機がありますが、動機にキャラクターの人間味のようなものが乗らず、行動自体にワクワクすることがありません。その後の展開で予想外のことが起こり、ワクワクする場合は別です。

そして、最後に「主体的行動」です。主人公に主体的行動するための理由(動機)が存在し、とある目的に向かって行動している状態のことです。例は挙げるまでもありませんね。動機があり、障害があり、向かうべき目的が存在する状態です。

今回のシーンでは、響は行きたくない学校に行くという決断をしました。そこには、「3人が友達と仲良くなるため、ライブを成功させるため」という動機があり、そのために、学校に行き、自分の過去のトラウマを克服するということをしました。ここに、感動が生まれていると考えられます。

また、響が自分以外の誰かのために行動するところもポイントです。それによって、独りよがりな動機ではなく、誰かを思うという共感しやすい、応援したくなるような動機になっています。そんな彼が行動する姿は、心を熱くさせ、応援したくなります。

あと、妹が「当然なんだから」→「ガンバレの手紙」という思わぬところでツンデレを発揮してくれたところにグッときました。やはり、意外性って大切。こんな妹がほしい。

転:「決意の果てとその影響」

小さな起承転結は、

  • 起:「ロックンロール」
  • 承:「逃走」
  • 転:「リトルウィングへ」
  • 結:「3人との話」

ここでは、響のぶっ飛んだ行動とそれによって、リトルウィングの面々に影響を与えるという流れになっています。

響のぶっ飛んだ教室ライブは学校に行くという普通の発想では考えられない「意外性」のある行動であるため、ここも面白さを生み出していますね。

また、ライブの時の響の歌い方のリアルさ、最初は自信なくうつむきがちに弾いていたのが、声に張りが出て前を見て歌えるようになっていく様は、ただ、精神的なプレッシャーに苦しめながらも乗り越えたという表現になっています。

この響の学校に行きたくないことやトラウマのことなどの苦しみの大きさが表れていて、人間味のあるキャラクター表現になっているところもポイントです。

そして、そんな常識に囚われない勇気ある響の行動によって、正義を認めさせ、桜花に安心させ、3人に勇気のバトンを渡しました。

結:「ライブ!」

小さな起承転結は、

  • 起:「学校に通う」
  • 承:「チラシを配らない」
  • 転:「セットリスト」
  • 結:「ライブ!」

響は3人との会話の後もきちんと約束通り、学校に通います。響がトラウマを克服したということでしょう。

そんな響の勇気のバトンを受け取った3人も友達をライブに誘います。そして、そんな3人は響が歌っていたあの曲を歌いたいといいます。ここで、3人が響のビデオを見たということを知ります。

3人に響のビデオを見せた桜花は、響の詩が昔から好きだと言うシーンが挿入されます。自分が欠点だと思っていた過去を肯定してくれるというのは、ラブコメではよくあるグッとくる要素の一つですね。直近では「ゲーマーズ!」の第2話に使われていますね。

そして、最後はライブ! ライブの時の3人の表情に注目してみてください。とても愛おしい気持ちになります。

終わりに

いかがだったでしょうか。天使の3P第4話。

最初から最後まで話が転がりすぎていて、見ごたえがあったかと思います。

また、ライブでの3人の表情の輝きには眩しすぎて、視聴後は茫然としてしまいました。まったく、小学生は最高だぜ!

4話まで分析してみて、1話ずつがそれぞれ起承転結になっていることが分かりました。そういった切り口から、分析してみるのも面白いですね。

今回のポイントは「主人公の主体的行動」でした。

主人公の主体的行動には人を熱くさせるものがあります。そんな主体的行動の塊である作品として「政宗くんのリベンジ!」があげられます。愛姫を落として振るために、努力を重ねイケメンになり彼女を口説こうと必死になる政宗の姿はおかしくもあり、素直にかっこいいなとも思います。おかしくも頑張る姿というのはもしかしたら、共感や応援が得られやすいポイントなのでは……。

あと、響が学校に向かうまでの「踏み出さないと繋がれない。たどり着きたい目標があるなら、まずは自分から近づかないと何も始まらない」という言葉はすごいいい言葉だと思いました。

彼の行動がその言葉に重みを生み出しているのでしょう。こうやって、僕自身も物語で誰かを勇気づけられるような作品を書いていきたい。

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アンジェロ:https://twitter.com/VhPww

では、また次回!

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